目 次

Ⅰ アイデアソンによる課題解決構想

①府内5番街×大分大学による賑わい創出プロジェクト
②能登×大分大学による地域間交流プロジェクト

Ⅱ 地域課題解決の実践

①松山市・宇和島市×大分大学による多世代交流・健康寿命増進プロジェクト
②東北被災地×大分大学による多世代交流・健康寿命増進プロジェクト

Ⅲ 地域課題解決の社会実装化

①佐伯市マリンレモン×大分大学による地産地消拡充プロジェクト
②佐伯市コミュニティカフェ×大分大学による古着マーケット創出プロジェクト
③佐伯市汲心亭×大分大学による地元接待プロジェクト

Ⅳ 「地域つなぎ部」による活動

①センターテラス活性化アイデアソン
②「地域つなぎ部」部室完成

Ⅴ CRESEキックオフ・連続シンポジウム開催(2026年2-3月)

Ⅰ アイデアソンによる課題解決構想

①府内5番街×大分大学による賑わい創出プロジェクト

 府内5番街商店街をフィールドにした課題解決アイデアソンを2025年10月から12月にかけて大分大学生22名が参加しました。
まずは府内5番街を感じる実地見学から始め、店舗へのインタビュー調査などから、空き店舗や老朽化、あるいは店舗業種の偏りについて大分大学生が加わることで解決するアイデア出しを行いました。

 5つのアイデアが生まれ、アイデア名「五番街ギャラリー」という画廊×かふぇ「がーふぇ」という提案が府内5番街商店街振興組合から高い評価をもらいました。大分大学生たちが持っている能力、たとえば音楽や絵や語学の披露の場としての活用を提案してくれました。この他にも店舗の紹介を分大生が行う「5番街POPUP STORE」や駐車場の空きスペースなどで屋台を使って学生も簡単に出店し、多様な業種を増やす「チャレンジショップBUN5」などのアイデアが生まれました。

②能登×大分大学による地域間交流プロジェクト

 2024年1月1日に大規模な地震に見舞われた能登と大分の交流プロジェクトに経済学部2年生29名が参加し、前期の半年をかけて能登について学び、能登の方々と交流を深めました。

 前半は、能登で支援活動を実施しているNPO法人リエラ(日田市)の松永鎌矢さん、能都町職員(当時)の小川勝則さん、㈱ふくべ鍛冶の干場健太朗さんからそれぞれ能登の現状についてお話をいただきました。被災や災害支援の状況、能登の人々の生きざま、能登での企業活動における震災後の展開など多岐にわたる内容に毎回聞き入りました。また、能登の物産、特に食品を中心に、特徴的な行事や食文化、工芸品、産業、キリコ祭りなどの伝統文化といった能登の人々のくらしや経済について、能登に関する映画や教員からの講義も通して学びました。

 後半は「能登と大分をつなぐ」をテーマに、6チームに分かれてそのアイデアを創りだしました。前半で登壇なさった方々を審査員に迎え、各チームそれぞれに異なるアイデアをプレゼンテーションし、応急仮設住宅を支援活動の方の活動拠点、被災住民の憩いの場や仮設店舗として活用する内容に審査員から高い評価が集まりました。このアイデアは、「現行では法により不可能ではあるが、被災した地元住民が同じように考え行政にかけあったことがある、ぜひ実現させてほしい」と講評をいただきました。その他、子供たちがおもてなしをする子供旅館や、能登と大分の食材を掛け合わせたメニューの開発、輪島塗を体験するカフェ、能登の物産や旅行を景品としたガチャ、農水産学校の開校といったアイデアが生み出されました。

Ⅱ 地域課題解決の実践

①松山市・宇和島市×大分大学による多世代交流・健康寿命増進プロジェクト

 超高齢社会を向えた現代社会の課題は、膨大に膨らむ社会保障費の削減、圧縮という観点に留まらず、自分の力で自己の人生を全うし、幸せな期間を創出する社会づくりが希求されています。つまり、平均寿命と健康寿命が示す2つの期間を圧縮することができれば、健康期間を延伸することにつながり、幸せに資することができると考えられます。また、幸せな期間を創出する過程を通して、住民間のつながりや、結束を促す社会関係資本を醸成することができれば、福祉的効用が期待できるばかりか、孤独・孤立の防止に寄与できると考えます。

 本事業は、健康寿命が全国的に低い傾向にある愛媛県(松山市、宇和島市)を対象として、簡便な運動を媒介に人と人、人と場所、人と機会をつなげ、健康寿命の延伸と社会関係資本の醸成を目指す実践を2025年10月から12月の3か月間、学生主導のもと実施しました。

②東北被災地×大分大学による多世代交流・健康寿命増進プロジェクト

 2011年3月11日東北地方太平洋沖地震ならびに、福島第一原子力発電所事故による未曾有の災害が発生し14年が経過しました。国や地方公共団体は、災害などで自宅を失った被災者向けに、公営住宅法に基づき、災害公営住宅の整備が行われました。災害公営住宅は、被災直後に一時的な住まいとして無償提供される応急的な仮設住宅とは異なり、恒久的に暮らすことのできる住宅をいいます。被災地はこうした住まいに加え、道路などのインフラの整備を進め、地域の復興は印象付けられていますが、一方で災害公営住宅入居者の健康被害や地域住民の希薄な関係性は依然として報告され、課題は多く残されている状況です。

 本事業は、こうした問題意識と課題を検討するために、2022年度より大分大学で展開している宮城県石巻市ならびに、福島県川内村、同県楢葉町を対象とし、安全かつ簡便に取組むことができるノルディック・ウォークを行う事業です。ノルディック・ウォークによって、如何に災害復興住宅居住者の体力が向上したのかを検討します。さらに、運動を媒介として、如何に社会関係資本が醸成できるのか、ウエルネスハウジングの拠点づくりについて、地域住民のみなさんや学生、行政職員の方とご一緒に検討を深めてみと考えています。

Ⅲ 地域課題解決の社会実装化

①佐伯市マリンレモン×大分大学による地産地消拡充プロジェクト

 2025年9月28・29日に佐伯市船頭町の住吉御殿にて経済学部生3・4年の20名が参加する地域づくりワークショップを開催しました。佐伯で地域づくりを実践している方とのコラボ事業を考案し、学生も佐伯の地域づくりに貢献するプロジェクトです。
 地域づくり事業を展開する5人を紹介してもらい、5つのプロジェクトを7月の事前準備から始め、今回の1泊2日の合宿で完成させ、地域の方々にプレゼンして評価してもらいました。

 このなかで学生事業として最も実現性が高く、地域外への発信力も高いとされたのが、佐伯の特産になりつつあるマリンレモンの果汁を使った飲料開発と学園祭での情報発信でした。当センターの協力研究員のサポートもあり、学園祭にて佐伯マリンレモンを使った新ドリンクを開発し、インスタフォローで割引をすることで、その知名度を引き上げることに取組み、販売も順調で情報の拡散にも成功しました。何より佐伯市とは縁のなかった学生たちが佐伯市と他地域との関係づくりの糸口を佐伯の地域づくりのメンバーと一緒になってできたことで事業の拡げ方についての知見を得ることができました。

②佐伯市コミュニティカフェ×大分大学による古着マーケット創出プロジェクト

 佐伯市船頭町にあるコミュニティカフェKIISAの河野功寛さん(CRESE客員研究員)にサポートしてもらい、大分大学生が地域を古着でつなぐ取組みの社会実験、その名も「分け合いクローゼット」を実施しました。お洒落をしたいけど、お金はそれほどかけられない若者や、洋服を買う場所の少ない地方だから、古着でつなげるのではと学生たちは、地域の人に趣旨を説明し、たくさんの古着を集めました。

2025年2月16日の1日限りでしたが、コミュニティカフェに集まる家族連れや若者、中高年の方、あらゆる世代が集まり、古着を眺め試着し楽しんでもらいました。参加者は「学生さんの取組み、なんか幸せな気持ちになれました」と言葉を残し、気持ちを「投げ銭」で表してくれました。「投げ銭」は自分の感謝の気持ちをその人なりに表しやすく、100円でも1000円でも自分の財布と気持ちで自由に決められる、お客さんの主体性が形になる参加方式だと改めて認識できました。頂いた投げ銭は、学生たちの佐伯までの交通費や活動費とし活用し、学生も大分から佐伯まで足を運ぶことができる人の循環にも役立っています。

③佐伯市汲心亭×大分大学による地元接待プロジェクト

 佐伯城内にある茶室・汲心亭をお借りして、大分大学の学生が佐伯市民をおにぎりと豚汁を振舞い接待するプロジェクト「ココロの〇(わ)」を実施しました。佐伯市社会教育課が管理され、日ごろは抹茶を頂くことはできますが、基本は文化施設で食事はできませんでした。しかし、訪れた学生たちは、こんないい空間で、食事ができたらという思いに駆られ、それを地元民接待という形で実現しました。

 佐伯産の具材を使った創作おにぎりと豚汁を、庭園をみながら、ゆったり時間を過ごし、最後にお抹茶とお菓子で一服をしてもらいました。接客は佐伯とは縁はなかった大分大学生が担うという地元「外」民による地元民おもてなしプロジェクトです。参加者からは、佐伯にいながら改めて汲心亭の良さを再発見した、との言葉ももらうこともでき、こちらもCRESE客員研究員の山本祐之介さんのサポートの支援があり、成功裡に終わりました。

 なお、当日は大分合同新聞の取材も受け、記事にもなりました。

「大分大学生が佐伯市で地域の魅力アップ策実践 茶室で食事提供、市民らの反応は上々」
(2025年2月21日オンライン)
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2025/02/21/JDC2025021700244

Ⅳ 「地域つなぎ部」による活動

センターテラスでの学生交流創出プロジェクト

 大分大学生による活動組織「地域つなぎ部」を2025年7月に立ち上げました。経済学部裏手にあるセンターテラス(経済学部100周年記念広場)内にある部室やテラスに集い、学生間の交流や地域とのつながりを模索していく地域・学生交流の新たな展開を創り出していきます。現在経済学部や理工学部学生が中心に32名が登録していますが、常時部員を募集しています。やりたいことがあれば、いつでも加入できます。
 2025年度は以下の2つの事業を実施しています。

①センターテラスでの学生交流創出プロジェクト(2025年10月4日)

 10月4日(土)にセンターテラスを学生の居場所にする取組みを考えるアイデアソンを実施し、夕方はセンターテラスで懇親会を実施しました。
 センターに賑わいを創るために、延べ20名程度の学生によってチーム形式によるアイデア出しをしました。実施イメージの模型を工作し、それぞれのアイデアを講評しながら、以下のようなアイデアが生まれました。

①自然に囲まれたログハウス(ハンモックを取り入れ、休憩スペースを作る)
②BunBunドーム(テラスにドームを作り、授業の合間の休憩、夜はプラネタリウム)
③テラスdeフリーマーケット(学生間で不要になったものを必要な人に届ける

これらアイデアをもとに少しずつ形にしていければと思います。

 また、アイデアソン終了後は部員で「共同飲食」を行いました。教員たちが用意した食材を使って、ホットプレートやノンフライヤーを使って調理をしながら、学生間の親交を深めていきました。

②「地域つなぎ部」部室完成

 地域つなぎ部の部室をセンターテラスに「地域つなぎ部」の部室を開所しました。学生たちが、ここを拠点にいろいろな「つなぎ」を創ってくれることを期待しています。地域の人たちもここで何かに参加し、音楽・映画・工芸・園芸といったアートの世界もここで広がっていければと考えています。

③テラス屋台によるクリスマスイベント(2025年12月24日)

 地域つなぎ部の記念すべき第1回目のイベントを12月24日のクリスマスイブにセンターテラスで行いました。理工学部の学生たちを中心に作った手作りの屋台で、バスボム(入浴剤)やキャンドル作りを楽しむイベントです。クリスマスの飾りつけをして、学生や教職員をお招きしました。地域つなぎ部のブルゾンを着て、おもてなしをしました。

Ⅴ 地域経済社会教育開発センター(CRESE)
キックオフ・連続シンポジウム

テーマ地域と大学をつなぐ教育・研究で生まれる世界・人生とは?
―地域経済社会教育開発センター(CRESE)は何を目指すのか?―

 CRESEは、課題を抱える地域のコミュニティ再生と地域を支える中核人材を育成していく教育研究の全学組織として2025年に文科省概算により誕生しました。
 CRESEでは、地域でのインターンシップ教育を展開するにあたり、今必要な学生教育の理念や考え方は何かを模索するため、連続シンポジウムを開催し、そのスタートアップとします。

 まず、2月27日(セッション1)は、地域と大学をつなぐ経験を重ねてきた「つなぐ者」たちから学び、対話し、大学と地域のつなぎ手の実践と到達点を共有していきます。
 その上で、3月28日(セッション2)は、実際に地域課題を学び活動する若者――「つながった者/つながっている者」――たちが、自身の到達点について語ります。
 この連続シンポジウムによって、CRESEが志向する大学と地域のつながりにどのような可能性があるのかを、多角的な視点からの対話を通じて見出していきます。

セッション1「つなぐ者と大学」

テーマ大学と地域のつなぎ手の実践と到達点―何が教育・研究・人生を動かすのか? 
日 時2026年2月27日(金)13:00~16:30
場 所大分大学経済学部201号教室
登壇者<被災地福島での経験から>
丹波 史紀 氏(立命館大学産業社会学部教授)
千葉 偉才也 氏(福島大学教育推進機構特任准教授)
<大学と佐伯をつなぐ経験から>
浅利 善然 氏(株式会社コウネンコーポレーション代表取締役・CRESE客員研究員)
<能登留学の現場から>※オンライン参加
森山 奈美 氏(株式会社御祓川代表取締役社長)

セッション2「つながった者と大学」

テーマ地域とつながった者たちからみた大学教育―大学は何を与えられるのか? 
日 時2026年3月28日(土)13:00~16:30
場 所大大分大学経済学部201号教室
登壇者松永 鎌矢 氏(NPO法人リエラ代表・CRESE客員研究員)
和田 一華 氏(大分大学経済学部卒業生)
小溝 柊汰 氏(APU学生団体「フードバンク彩鳥」)
小野  慧 氏(立正大学学生団体「つむつむ」)
<コメンテーター>
鈴木 雄清 氏(大分大学IRセンター准教授)